アーネムランド1日目
毎度のことながら、ケアンズ経由でゴーブにはいるのは一苦労だ。
早朝ケアンズでたたき起こされ、眠いまま、ケアンズの町に12時間以上放置される。今年はレンタカーを借りたのが正解だった。
レンタカーの中で、朝仮眠をし、午後は精力的に(?)市内を回った。今回はケアンズでも木肌ディジュを5本仕入れた。ケアンズディジュも一時期のバブリーな値段は少し落ち着き、価格もやや抑え気味になってきた。
さて、ケアンズでは他の参加者2名と友人であるトムさん(ケアンズのディジュショップ勤務)の家で少しのんびりさせてもらったりして、いざゴーブへ。
ゴーブ空港に到着して、ちょうど同じぐらいの時間にダーウィンから到着したもう一人の参加者と合流。なかなか出てこない荷物を待っていると、アボリジナルの子供が寄ってきた。あ、シャーナだ。シャーナはジャルーファミリーの所の子供だ。彼女は「ジェニファーがここにいるよ」と外を指さす。あ、ドフィヤだ。ドフィヤはジャルーの奥さんであり、私を弟としてアドプト(養子)した人だ。感激して近寄り握手をして「誰か待っているの?」といったら、「おまえを待ってたんだよ」とにっこり。
いや~感激だぁ~!
と思ったのはほんの1秒間。
後ろからドフィヤの娘が
「ナラリを待ってたんだよ」
が~ん!!
やっぱりなあ・・・ナラリとは煙草。いつも免税店で煙草を買ってくるのだけどそれを待っていたわけだ。
そんなことだと、思ったんだよ。これが現実さ。
それでもわざわざ来てくれて嬉しかったな。
明日(今日)からの訪問が楽しみだ。
アーネムランド2日目
今日は朝から早起きをする。
8時の便で残り2名の参加者が到着し、6名全員が揃った。
今回は特に参加者の目的はイダキだけでなく様々違った目的来ている人たちばかりだ。
まずは許可証をとりに行くためにダンガル(ジャルーの妹さんで一番の理解者である。)を迎えに行く。彼らの住む場所に行くとジャルーやファミリーたちがごっそり出迎えてくれた。おかげで昨夜の空港煙草事件などどこか吹っ飛んでしまった。
とりあえず座れといわれたので、おみやげを渡す。今回は100円ショップで買った子供のおもちゃ類をごっそり持って行った。光るもの、ぬり絵セット、シャボン玉などなど。あっという間に子供たちの人だかりであんなにあったものがあっという間に消えていった。他の参加者からもいろいろプレゼントを持って行ったので、皆両手にプレゼントを抱えて嬉しそうだ。
そうしたら小さい子をだっこした人がやってきた。その小さい子を見て「あ、ヨーチン!」と声をかけてしまった。ヨーチンはジャルーの孫で前回の訪問でイダキを吹き始めて大きくなったなあと思っていた子供だ。でもダンガルが「ヤカ、ヨーチン(ヨーチンじゃないよ)」という。そういえばもう少し大きくなってたかな?と思うと「ヨーチンはあっちだよ」と指を指す。
そりゃ、びっくりしたよ。半年経ったらすっかり少年になってた。あの赤ん坊だったヨーチンが!子供の成長は本当に早いね。
ファミリーの所にちいさなウミガメがいた。こんな小さなウミガメを見るのは初めて。参加者も喜んでいた。
そしてパーミッションをとりにディムルというこのあたりを管轄しているオフィスへ。無事許可が降りると、また彼らの住んでいる場所へ戻る。ひとしきり、のんびりして、イリカラのアートセンターへ。いよいよ増築の工事も終わりに近づき、大きなスクリーンのあるシアターも完成した。ダンガルもついてきたので、新たに数本イダキを選び、再びジャルーたちのもとへ。近くの海岸を歩いたり、昼寝をしたり、そりゃあ、まったりした時間を過ごした。
そして今日のクライマックスとなったことが起こる。
「泥がにをとりに行くぞ!」ダンガルが言う。
思い立ったが吉日!ということで以前住んでいたスキービーチへ行く途中の道からオフロードへと入り、少し走ったところで車を止めた。目の前にはマングローブの密林。鞄は置いていくように、といわれる。皆、何でだろう?と思いながら密林の入り口へ。そこからはサンダルを脱ぐ。一歩密林にはいると・・・・
すげ~~~~~~~~。
なんだこれは??
宮崎アニメの世界?
マングローブの根っこが絡み合うように密集してる。
その中を泥の中や根っこの上を歩き続けるのだ。
いや~、確かに鞄はじゃまだ。
でも、なかなか思うように進まない・・・。
すると、ダンガルが「1匹見つけたよ!」と叫ぶ。
その根元には大きな泥がに!!!!
結局その1匹しかとれなかったけど、
夜焚き火で焼いてくれて食べた爪の美味しかったこと!!
あんなでかい爪を食べるのははじめてだ~~とみんな感動ひとしおでした。
あの満天の星空の下で食べたあのあじはしばらく忘れられそうにない。
アーネムランド3日目
朝起きた・・・。
足の異変に気づく・・・。
どっひゃっっっっっっぁ!!!
昨日気づかなかったけど、マングローブの森で足の至る所に蚊にさされた跡が!それも半端じゃないほどすごい量!!
まあ、でも、はじめての体験じゃないし、諦めよう。
この虫さされの跡、2ヶ月は残るので恐ろしもの見たさの人は帰国したら声をかけてください。
さて、今日は朝からイダキ・カッティングに繰り出す。
場所は町からさほど離れたところではなかったのだけれど、
そりゃあ、よく歩いた!
ジャルー夫妻は働き者だ。だれよりも体力がある。
今回はファミリーの若手6名も同行し、ジャルーのお手伝い・・・、と思いきや、あっという間に飽きたのか疲れたのか、前半ですでにだれ気味だ。
若手ヨルングボーイズ6名と私は一旦車の方に戻ってきた。
それにしても半端なく暑い!!皆「ガプ!(水!)」と叫んでいたので仕方なく、近くのスーパーまで来るまでひとっ走り行ってしこたま飲み物を買った。でもこれらもすぐになくなってしまった。
そんなとき、電話が鳴る。ジャルーたちと同行した日本人の参加者の一人から「ヨルングボーイズをつれてイダキをとりに来い」とジャルーの奥さんから連絡があった。
ボーイズに「さあ、いこか」と声をかけたがうち3名はへたばって動かない。仕方なく残りの3名と森の中へ・・・。
これが半端じゃなく遠かった!!
1キロ以上奥に入ってしまったため、とりに行って帰ってくるまで30分近くかかった。
それでも日本人参加者は、ジャルーたちの元、イダキ作りにえらく感動をしていた。
とにかくよく、歩いた、水を飲んだ、食べた!!
明日はイダキ作りの予定。
アーネムランド4日目
足の虫さされはさらにひどくなってきた。気がつけばふくらはぎは赤い斑点の所の方が面積が広い。
でも、もう慣れてるので周りが気にするほど心配していない。
今回はかゆみもあまりないし。(一度ひっかくとどんどん悪化する)
で、本日はイダキ製作のお手伝い。
ジャルーたちと一緒にイダキにヤスリをかけたり、表面が乾かないようにボンドを塗ったり。
すでに支払い済みの5本を選んだんだけど、どうしても4本しか選べない。
ドフィヤ(ジャルーの妻、私の姉)がいう「じゃあ、また切りにいくべ。ちょちょっと切ってもどってくるべ。」そんな感じで言われたが、彼女の言葉には信用がない。今までもそういってどんどん奥へ入って木を切っているのを知っているからだ。
案の定、彼女は森の奥深くへ深くへ・・・・やっぱり不覚だった。
もうすでに4,5本切り倒したのに、「もうちょっと見たら帰ろう」とさらに奥へ奥へ。ミララ(若手の作り手でジャルーの弟子)も一緒に奥へ。もう勘弁してよ・・・そう思って、「そろそろ帰ろう」というと「わかった、じゃあ、そのイダキを持って」と言って、ドフィヤとミララは自分が思っていた方向とまるで反対の奥へ奥へと入っていこうとする。「まだ切るの?」というと「いいや」じゃあ、なんで車の方に戻らないの?」と聞くと「だって車はこっちだろ?」という。がぁ~~~~ん。自分たちが思っていたのとまるで反対方向を歩いていたのだ。日本人組は皆反対方向に車が有ると疑わなかった。でも彼らは違う方向へ。
するとさっきたしか後ろに置いてきたイダキが現れる。
彼らはきっと地図を持っているに違いない。
こんな森でどこに何を置いてきたか覚えているなんて奇跡だ!
ひとり2本のイダキを担いで、帰宅の途につく。
ああ、それでも充実した1日。
あと1日で今回の訪問も終了・・・。
あっという間だったなあ。
アーネムランド5日目
いよいよ明日アーネムランドを離れる。
よっしゃ~!今日は思い残すことなく楽しむぞ~~~・・・
と思ったら朝から雨、雨、雨・・・・。
すっかりやる気をそがれたが、まあこういう日もあるさ。
まずビルマを作ってくれたというヨルングのもとへ行った。
10セット、かなり良質ばかりがそろった。
受け取りに行くと雨が激しくなり、しばらく雨宿りも兼ねていさせてもらった。そこはヨルング自身が設立したアートギャラリー。ギャラリーと呼ぶには倉庫のような所だが、鉱山の鉱夫さんたちがお客さんらしい。もともとナンバラというアートセンターがあったのだが、行ってみたらしばらくの間閉店とのこと。
そこでそこにアートを卸していたガルパという場所のアーティストが自分たちで売り出したようだ。
ビルマの他、ロールキャンパスに描かれたとりの絵を購入。
その後お昼を買いにスーパーへ行くと、ドフィヤがいた。
そこでドフィヤをつれてまたファミリーの元へ。
ジャルーは雨だから狭い屋根のついたスペースに椅子を持ってきてくれて皆に座れといってくれた。とても心優しい人だ。
今日は今回の旅で初めてジャルーと1対1でイダキを教えてもらう機会を得た。
まず前回習ったレッドカンガルーを披露。
ジャルーはにこりとして「レッドカンガルーだね」と言ってくれた。そこからは無言でレッスンが始まる。
ティプトロティプトロトーティプトロティ♪
ジャルーが奏でる短いフレーズをまねる。
次第にそのリズムは難しい内容へと移る。
とにかく会話はない。彼の音を聴いてひたすらまねるだけ。
ああ、まだまだだなあ・・・。
そういわれているような気がした。
師匠、もっと修業積んできます!
そしてファミリーに別れを告げた。
さよなら、また今度!!