昨夜は眠いはずなのに、久しぶりのアーネムランドの夜なので、なかなか眠りにつけなかったけど、気がつくと雨音で目が覚めた。
今日も雨。雨季といえどこんなに雨が続けて降るのは珍しい。
それでも今日は、時間をかけてイダキを選ぶ日と決めていた。
アートセンターのすぐ裏なので「出勤」は楽だ。玄関出たら30秒もかからない。
アートセンターは相変わらずだけど、知らない若いスタッフが数名。クリスマスホリデーで、休みを取ってるスタッフが多いらしい。それから、バックヤードの作業場がとてつもなく広くなっててびっくり。アートセンターに初めて来たのが2000年あれから20年。やっぱりずいぶんと変わった。
さあ、イダキセレクトタイム。
イダキは5つぐらいの山(ひとつ70~80本程度)を一山ずつ1本1本試していく。
これは1日がかりだな、と思ってたけど2~3時間ですべて試してしまった。
イダキの選び方はこうだ。
基本音を「ディトー」と出して、最後にトゥーツを入れる。
ディトーで、そのイダキの音の幅や響き、倍音の質、などおおよそがわかる。
まず、音が詰まっていたり、ちょっと癖が強いイダキは外していく。次に価格を見て、この価格帯ならほしい方がいるかな?とか考えながら落選(あまり表現はよくないけど)、保留、当選と分けていく。
最終的にざっくり25本程度までしぼった。
とても良いセレクトができました。ただ、ペイントがされていないイダキが増えた。木肌は木肌でいいけど、やっぱり美しいペイントがあるのも魅力の一つ。
まだ新しいイダキが来る予定があるので、来週水曜日までは粘る予定。Djalu Familyのところからも仕入れる予定があるからね。
さて、午前中イダキセレクトに没頭してるときに、ジェレミーから「Yaliに会ってきて」と言われた。どうやらイダキ・カッティングに連れて行ってくれるらしい(まあ、天候にもよるけど)。
ランチ後に会いに行くことにした。
Yaliについて話をすると、彼はYidaki Makerとしてはずいぶん前から活躍している。彼がまだ若い頃から数多くの彼のイダキを仕入れてきた。普段はDhalinbuyというアウトステーションに住んでいるのだけど、DhalinbuyにはたくさんのYidaki Makerが住んでいて質の良いイダキがたくさん産出されている。
そのYaliが年末年始は町に滞在しているらしい。
Nhulunbuy(中心の町)にはアボリジナルホステルがある。格安の宿だが、先住民専用の宿だ。アウトステーションにいるヨルング達が泊まるところがなかったりしたら利用している。Yaliもそこに滞在中だ。
ホステルに着くとYaliを探す。といってもYaliに会ったのはずいぶん昔のこと。
顔思い出せるかな?到着すると外に数名のヨルングの男女がいた。
「Yaliいる?」と聞くと「今買い物に行ってるよ。すぐ戻るよ。」とじゃあ、戻ってくるよって告げると電話をしてくれた。彼らは本当に優しい。子供もいたのでお礼にハイチュウを上げたら喜んでくれた。
ほどなくしてひとりの男性が近づいてきた。Yaliだ。
彼はとても気さくでそれでいてちょっとシャイで、感じの良い人だ。
すでに2本のイダキを切ってきていて、仕上げるための道具がアートセンターにあるので、行きたい、それから、Djaluのところで専用のノミを借りたいとのことで同行させてもらった。その2本のイダキは、まだ皮のついたままの原木で、皮を取り除き、グラインダーをかけて、ヤスリをかけ、木工用ボンドのような液体でコーティングし、それからペイントをする。これらの行程はDjaluのところで見てきたけど、Yaliの作業を見てるととても丁寧だ。丁寧に皮を取り除き、グラインダーでの仕上げにたっぷり時間をかける。さらに彼の凄いところはちゃんとその合間で皮や削りかすをちゃんと掃除するのだ。性格が出るなあ。ヤスリやボンドのコーティングも手伝いしたけど、結構チェックされた(笑)
イダキは明日までに仕上げるらしく、見るのが楽しみだ。
夕方、スーパーで買い物しているとひとりのヨルングの女性が目を丸くして近寄ってきた「ひさしぶりじゃない!!!驚いたわ!もう彼女に会ったかい?よく戻ってきたね」ハグをしたあと、そんな会話をして別れたのだが、誰だったか全く思い出せなかった。今日の彼女はきっと私を知ってるんだろう。だけど、たまに酔っ払ったヨルングの男性が、よく親しげに近づいてきてさんざん話した後「タバコ持ってない?20ドルくれない?」なんてこともよくある。まあヨルングは一つの家族だから、その中に飛び込んだのだからもっとその人の顔と自分との関係を覚えないと。
雨はすっかり上がった。このままあと数日天気がもつといいな。