イダキのペイントには大きく分けて2種類のタイプがある。
ひとつはオーカー(Ocher)。
主に、黒、白、赤(茶)、黄(黄土)の4種類がオーカーの色と言われている(実際には白は石灰のような成分)。写真のように岩にこすって粉にして油や水などで溶いて使う。見分け方としては、白いペイント部分が少し浮き出てざらついている感じがある。風合いとしてはオーセンティックな感じがあり、落ち着いた色合いでいいのだが、水や油に弱く、濡れるとすぐに白い部分が透明になってしまう。またこすれなどにも弱く、ペイントが劣化しやすい。
もうひとつはアクリル絵の具(acrylic)。
一般的に売られているアクリル絵の具と同じだが、彼らがよく使うのはJo Sonjaというメーカーのトールペイント用のアクリル絵の具。日本では限られたお店にしかないが、入手は可能。オーカーの色に最も近い以下の4色が用いられる。
Carbon Black (カーボンブラック)- 黒
Titanium White (チタニウムホワイト) – 白
Red Earth (レッドアース) – 赤
Yellow Oxide (イエローオキサイド) – 黄
※黄色は希にRaw Sienna(ローシェナ)が使われる場合もある
たまにイダキにも他の色が使われることがあるが、たまたま欲しい色がなくて近い色を使ったケースとかも少なくない。
また、葉っぱの緑色は、黄色と黒色を混ぜて作っている。滅多に青系の色は使われないがごくたまに使われることもある。
アクリル絵の具は、水で溶いて使い、乾くとにじまないので劣化がしにくい。ただしオーカーのような風合いは出にくい。
ヨルングのイダキメーカーたちは、おそらく70%はアクリル絵の具でペイントしている。ただアクリル絵の具が買えなかったり、近年ではアートセンターからのリクエストでオーカーを使用するケースもある。元々樹皮画やログコフィン(儀式で骨をいれて使う大きなポール)のペイントなどはオーカーを使用するケースが多い。
ペイントは男女問わず行うが、男性がイダキを作り、女性がペイントをするケースが多い。すべてのカッティング、シェービング、チューニング、ペイントまでをひとりで行うことは希。
ペイントは細い毛先の長い筆を使う。これは市販されているものではなく、髪の毛などを木の枝に付けて自分たちで作る。子どもの毛や犬の毛など、やわらかくまっすぐな毛が好まれる。
描かれるデザインは、Mintji (ミンチ)といい、家族にのみペイントが許されているいわゆる家紋の様なもの。自分の母方と父方のMintjiのみ描き方が許されているのだ。そこに描く生物や植物も、彼らのトーテムのみ描くことが許されている。また線の形や本数でも意味合いが変わる。
ディンカム・ジャパンで取り扱っているイダキは下記WEBSHOPにて購入可能です。
http://dinkum.shop-pro.jp/?mode=cate&cbid=1849865&csid=1&sort=n