2019年12月16日

[報告記]Arnhem Land Report (2012年2月)

昨夜、無事アーネムランドに到着。
今回はホテルでなく、リックさんという知り合いのオージーの家に泊まるのだ。
彼はMacマニアで、Macのありとあらゆる製品がここにはある。もちろんWifiも飛んでるので、ネットも使える。アーネムランドでは今まで考えられなかったことだけど。

さて今朝は、まずジャルーのところへ。
みんな元気かな?そう思いながら、いつもの道をドライブする。
入り口が見えると、いつもの顔が迎えてくれた。
でも子供たちの顔が見えない。
そう、彼らは学校に行ってるんだ。
ヨーチンも今年から学校だって言ってたし。

とりあえず日本からのお土産を渡す。
まあ、いつも喜んでくれるんだけど、それ以上にタバコが一番ここの女性には喜ばれる。彼らの健康を考えたらやめてほしいが、残念ながら、タバコが彼女たちにとって最高のプレゼントなのだ。

しばらくするとジャルー、ラリーが現れる。
二人とも元気そうだ。ジャルーはずいぶんと髪が伸び放題だった。

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イダキは2本作ってくれていました。でも2本ともまだ木肌のまま。
でも話したら今日ペイントしてくれるとのこと。(実際、午後にはペイントされていた。)どちらもかなりクォリティが高い。本数的にはもう少しほしかったけど、まあ、イリカラでも買うので十分満足だった。

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珍しくドフィヤ(ジャルーの奥さん)がカゴ編みをしている。
ここヨルングの女性の作るカゴはすばらしいのだ。
結構手間がかかる作業。パンダナスの繊維を染めて編む。この染めの材料を探すのにも一苦労なのだ!

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さて、ほどなくしてイリカラへ。イリカラにはアートセンターがある。知っていると思うが、うちのイダキはここから仕入れている。

訪問する度、このアートセンターもどんどん進化してる。また建物が増築されてるそうだ。ヨルングの若者がネットをしていたり、ちょっとしたシアターや、展示エリアもある。一通り挨拶を済ませ、いざイダキ選び!!

今回はかなり吟味して選んだ!
珍しく木肌のイダキが多かったけど、良いものを21本仕入れられました!
そのほか、樹皮画や彫刻、ビルマ、アートバッグなど買いました。
はい、もちろん予算オーバーですが。

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ところで、ナランボイに今、新しいバスサービスが出来た。YBEという鉱山会社がGOVE COMMNITY BUSというのを運行したのだ。なんと5ドルで、市内からイリカラや、スキービーチ、空港などへいけるそうだ。車がないと乗り合いタクシーでイリカラまで片道確か40ドルぐらいかかるのでその事情を知ってる人には驚きのことなのだ。この地はやっぱりボーキサイトの鉱山で成り立っているんだな。どんどん白人が増えてるし。今は日本人も4人ぐらい住んでるらしい。(オーストラリア人と結婚した女性がほとんどらしいけど)

それから、イリカラはオーストラリアでもっともものの値段が高い場所だと思い知らされた事件。

お昼を買おうと、アートセンターの前の小さなお店へ。
テイクアウトのできる食べ物がたくさんあるんだけど、チキンの煮た奴と焼き飯を弁当箱ぐらいのタッパーに入れて売っている。それと600mlの炭酸飲料を買ったらなんと!!!会計が19ドル(1700円)!!!しかも決して美味しくないっ!!(笑)ここ数ヶ月でもっとも高くついたランチになった。日本だったらホテルのビュッフェランチを食べてもお釣りが来るよ~。まあ、選択の余地がないので仕方ないね。明日は今日の夕食の残りを持たせてくれるそうだ。リックさん一家はホントいい人たち。ありがとう~!リックさん!(今、となりでクリケット見ながら、iPadをいじってるが)

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そして、いつももっともお世話になっているダンガル(ジャルーの妹さん)がちょうどキャンベラへ行っていて、今夜帰ってくると言うことで、空港へ迎えに行くことになった。なんと!最新情報だが、ゴーブ空港にもFree WiFiが使えるのだ!10年前はまだ掘っ立て小屋だった空港が今や、WiFi!!凄いなあ。

そういえば、昔ホテルから電話回線でネットをやったら150ドルぐらい取られたことがあったっけ。時代はどんどん変わるね。

明日は買ったイダキなどをパッキングしたり、またジャルーのところへ行ったり。あといろいろ写真を撮ろうかと思う。5月下旬にまたカルチャーイベントを考えているので。

今日は朝、約束があったのだ。昨日、アートセンターで会ったDAVIDさんという白人の方に家に来るように言われた。彼は長年この地に住んでいて、アートやイダキのコレクションがあるという。これは是非拝ませてもらいたい、ということで行ってきました。彼の家は今泊まっているリックさんの家から徒歩2分。到着したらシャワーを浴びてて、ちょっとだけ外で待つ。

部屋の中に入ると、壁にはすばらしいアートの数々(リックさんの家もそんな感じ)。部屋の奥からイダキを次々に出してくれた。中には1970年代前半のイダキも数本。Djatjirri#1が全盛期に製作したイダキや、珍しいペイントのイダキなど。こんなコレクション眠らせておくのはもったいないなあ。彼もいろんな人に見せたいらしくて、是非HPで紹介してくれと言ってくれた。そのHPに載せれば、ヨルングの子供たちが、自分の祖先が残したものを理解できるから、と。短い時間だったけど楽しいひとときだった。

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さて、おおかた買い物が終わったので、今日は特になにもないといえば、何もない。とりあえずまずはアートセンターへ。購入したものをパッキング!と思ったのだが、新しいスタッフの人がやってくれるという。おお、なんて親切な!彼は新しく入ったアートコーディネートマネージャーで、KADEという男性。とっても良い人でした。

KADEそして、ずっとこのアートセンターを仕切っているWillと3人で話をした。

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アートセンターも世界的な不況の波は押し寄せていて、昨年の売り上げは大幅に落ち込んだそうだ。それでもヨルングからはアートやイダキが持ち込まれる。だから、特に高いアートが動かず、連鎖的にヨルングの社会も潤わなくなってきている。この地は、ヨルングの土地とはいえ、実はボーキサイトの鉱山で成り立っている。天然資源が豊富なオーストラリアの景気を支えているといってもよいだろう。鉱山関係者はかなりよい給料がもらえるそうだ。今回お世話になっているリックさんも鉱山関係者。4日12時間フルで働いて、4日休む。そんな生活をしているそうだ。つまりこの地に住む白人達は景気がよい。それによってインフレが発生して、昨日話したような2000円近いランチが存在してしまう。

そのインフレの中でヨルング達は生活して行かなくてはならない。もちろん狩猟採取で食料を得ることもできるが、普段はスーパーで買い物をする。ほんの少し食料をかっただけでも5000円ぐらいは簡単になくなるのだ。

それを考えると、彼らの文化に対する対価は決して高いものではない。あんなに労力と時間をかけて作ったイダキやアート。もっと評価されるべきだけど、簡単に景気に左右されてしまう。

自分が一生懸命作ったイダキが高く買ってもらえないと、彼らは製作意欲がなくなり、やがては文化が衰退していく。

文化をビジネスとしている私にとっても、とても頭の痛いところである。
自分でディジュリドゥを作ったり、アジアの発展途上国で安価にディジュリドゥを製造して販売するのは容易なことだろう。でも、よく考えてほしい。それらの製品が彼らの文化を衰退へと導いていることを。いずれ形を変えて、ヨルングたちが、自分たちで製作をやめて、こぞってチークやプラスチックのイダキを使い始めたらどう思うだろうか?もしそうなってしまったら私はもうこのビジネスをやめるね。もしくはすでに製作されたイダキたちを買い取って販売する形に移行するだろう。 文化を守るなんて大それたことは言わないが、これからもヨルングの文化、アボリジナル文化を継承していく一助になれる活動を理想として行きたい。

さて、話はそれたけど、1枚の絵を紹介したい。

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ダララルと呼ばれる神聖なイダキ(正確にはイダキとは呼ばない)の絵だ。
写真のちょうど後ろに移っているのが、ダララル。これは、神聖な儀式の始まりの合図にだけ使われる楽器で、トゥーツのロングトーンを2回鳴らす。それによって、人々や精霊が集まってくるという。このダララルについて語られたのが2004年のガーマだったかな?そこで初めて彼らの口から話されたのだ。

そんなダララルには紐がついている。女性が親族が亡くなったときにその悲しみを紛らわすために貝殻などで自分の頭をたたき、その痛みで悲しみを紛らわすのだ。この紐はそのときに流した女性の血も表しているそうだ。

こんな貴重なアート、現地では25万円くらいの値がついていたんだけど、20万円(送料込)で特別に売ってくれるそうです。もちろんアートセンターにはほとんど利益はありません。興味のある人は私まで連絡ください。

今日の天気は、午前中は晴れ。午後から時々スコールが降って、夕方もかなりの雨が降った。止んだのでジャルーにお別れを言いに最後の訪問。

外にはダンガルが子供たちに大きな長い風船を作ってあげて、遊んでいた。
ヨーチンもこんなに大きくなり、ババコ(ラリーの息子)はこんなファンキーな髪型に!

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みんな訪問する度大きく成長していてとても嬉しいね。
もう13年もこの地に通っていて、どんどんいろんなものが変わっていく。
彼らにとって良い方向へ進んでくれたらいいな。この子供たちが大人になって、文化を継承していく姿を是非見守っていきたい。

ジャルーは部屋にいた。
暗い部屋の中でテレビを見ている。
1日のうちこうしていることが多いようだ。
もうかなりの年(正確な年齢は分からないけど、現在有力なのは76歳ぐらいじゃないかと)だから当然と言えば当然。

元気ではいたけど、咳き込んでいてかなり苦しそうだった。
それでもお別れを告げたとき、強い力で握手してくれた。 もっともっと長生きしてほしいね。